花の北岳 Kitadake (2008.8.12-13)
夏の北岳は緑と花がいっぱいでまさに百花繚乱。6年ぶりに登る道はやはり急登に続く急登でした。二股から草すべり、小太郎尾根、肩の小屋前の斜面、
山頂への岩場、八本歯のコルへの下り、どこも花、花、花でした。花を見ながら、撮りながら、励まされながらのリベンジ登山となりました。
登山道から北岳
登山口から大樺沢に沿って樹林帯を2時間ほど登って行くと、目指す北岳が少し近くに見えてきました。この先道が右にカーブして二股までもうひと踏ん張りです。
二股
雪渓に沿ってまっすぐ八本歯のコルを目指すルートと、ここから右の斜面を草滑りを経て小太郎尾根に出るルートの分岐、二股に出ました。雪渓は以前に来たときより少ないようです。
二股
ここから右の小太郎尾根に出るルートを取ります。予定ではこの日のうちに山頂を踏んで南にある北岳山荘に泊まる筈でした。前回と同じこの時点では青空に聳える北岳でした。
右股コース
木陰の少ない急斜面を登ります。
お花畑
気がつくと、辺り一面お花がいっぱいです。シモツケの赤い花がかわいいです。
草すべり
稜線までのちょうど中間地点、草すべりまでやってきました。目の前に広大な草原が広がっています。木陰に座って休憩を取ります。
お花畑
休憩の後はバランスが悪い上に強い日差しは睡眠不足の私には過酷でしたが、お花畑の花たちに出会うとまた元気になれました。稜線まであと一息、頑張ります。イブキトラノオとムカゴトラノオが風に揺れています。
小太郎尾根
ようやく北岳の稜線、小太郎尾根に出ました。目の前には小太郎山と雲に隠れてしまった甲斐駒です。ここから3000mに経つ肩の小屋までたくさんの花たちを見ながら気持ちの良い稜線が続きます。
仙丈ヶ岳
大きく女性的な山容の仙丈岳がどっしりと居座っています。生憎少しガスが出てきました。
岩場から小太郎尾根
小さな岩のピークを越えます。振り返った小太郎尾根です。
ハクサンイチゲ
山頂はガスに覆われ、展望は望めそうもありません。この日は肩の小屋に泊まることにしました。小屋前の斜面には一面のお花畑が広がります。もう咲き終わったはずのハクサンイチゲ、まだ咲いていました。
タカネヤハズハハコ
同じお花畑に咲いていたタカネヤハズハハコです。葉が柔らかなフェルトのような産毛で覆われています。
肩の小屋前
暫くお花を見て時間を過ごしました。小屋の前に戻って記念撮影です。
肩の小屋前
小屋の前のベンチでこの日の泊り客がくつろいでいます。ここからは見えないのですが、山頂は相変わらず濃いガスの中です。
鳳凰三山
真夜中に雨の音で目が覚めました。前回とまったく同じです。朝になって雨音が止み外に出て見ると、上空にまだ居座る雲でご来光を見ることはなかったのですが、4月末に山の友と歩いた鳳凰三山が迎えてくれました。
甲斐駒ヶ岳
朝の甲斐駒です。前日はとうとう姿を見ることなく寝てしまったので、嬉しかったです。仙丈に比べ、やはり男性的な甲斐駒です。
仙丈岳
花の山仙丈岳は私の大好きな山です。初夏には薄いクリーム色のキバナシャクナゲが一面に咲くのです。
山頂へ
雨も上がり、雲間から薄っすらと青空もうかがえるようになりました。まだ霧が深い山頂のようですが、晴れることを期待して山頂を目指します。写真では頂は見えていません。
記念写真
前日の芦安駐車場で乗ったタクシーに見覚えのあるお顔が、...なんとほんの10日ほど前に西穂山頂で会った方たちでした。今回の山旅でずっと一緒でした。私たちより少し早く山頂に行かれたそうです。これから下山して車で長い帰路につかれるとか、富士山のお話を聞いて記念写真を撮りました。またどこかの山でお会いしましょう。
岩場に咲く花
前夜の雨で水滴のついた花々が綺麗です。
山頂から仙丈岳
肩の小屋からほんの40分ほどで山頂に到着です。生憎のガスで360度の展望とは行きませんでしたが、リベンジになったことにします。日本で2番目に高い頂からは3000mの仙丈でさえ低く見えます。
山頂で
山頂に到着したらまず記念撮影をしました。前回は一面の霧でまったく展望のなかった頂でした。今回は周りの山々を下に見て2番目に高い山だと実感できました。生憎一番目の富士山はずっと雲の中でした。
北岳山頂
少しガスが出て、展望が望めずがっかりしている登山者たちです。もう少ししたら...ガスの晴れるのを期待して待ちます。
山頂から間ノ岳方面
遥か下に北岳山荘が見えています。その向こうに大きく聳える間ノ岳です。
お花畑
とうとう展望は諦めて下山することにしました。山頂から八本歯のコルへの分岐、そこからコルまでの斜面に広がるお花畑へと下りて行きました。斜面に広がるお花畑はキンロバイ、ウスユキソウなどたくさんの花たちの楽園でした。
お花畑
所狭しと競うように咲く花たちです。
お花畑
小さなイブキジャコウソウも負けずに咲いています。
間ノ岳方面
少し霞んでいますが、山の友と縦走するはずだった間ノ岳への稜線、次回はきっと一緒に縦走できますように。
お花畑
いたるところこのようにいろんな花が共存して咲いています。
鳳凰三山
八本歯のコルへ下ります。谷を隔て、夜叉神峠からずっと辿った鳳凰三山とその稜線が手に取るようにはっきり分かります。峠は右の雲の中、見えていません。
北岳山荘方面
山荘の赤い屋根が見えています。山荘へのトラバース道の分岐があります。
タカネビランジ
八本歯のコルへと下っていると、岩の割れ目に咲いていた淡いピンク色のタカネビランジに初めて出会えて嬉しかったです。良く見るとあちこちに咲いていたのです。思っていたより大きな花びらが風に揺れる様のかわいかったこと。
オンタデと間ノ岳
狭い尾根道から間ノ岳方面を眺めました。
北岳バットレス
八本歯のコル近くからバットレスと遠く甲斐駒です。
八本歯のコルへ階段
このような階段をいくつも下りるとコルへ到着です。
北岳バットレス
八本歯のコル付近から間近に見るバットレスです。この日クライマーを見つけることはできませんでした。
北岳バットレス
八本歯のコルから急斜面を下ってきました。見上げると大きな岩の壁、バットレスが聳えています。
二股へ下る
狭い尾根を雪渓まで下ってきました。ここから下の二股は遥か遠く、ガスで見えていません。
振り返ると
さっき下った尾根が遠くなりました。時折雪渓から冷たい風がやってきます。
振り返ると
さらに二股へと下ってきました。振り返ると、八本歯のコルのある尾根はもう雲の向こう、ずいぶんと下ってきました。
二股
二股まで下ってきました。登山道脇のタカネグンナイフウロ、ミヤマハナシノブなどかわいい花に見送られて、樹林帯に入り、登った道を下って行きます。今回の山行はほぼコースタイム通りに歩くことができました。登山口から二股までは2時間20分、二股から小太郎尾根まで3時間、そこから40分で肩の小屋に到着でした。
今回はずっと北岳に咲く花たちと一緒でした。あちこちのお花畑では足を止めることもしばしばで、最盛期を少し過ぎていたものの、北岳の夏は百花繚乱、のんびり嬉しい山旅になりました。
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