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槍ヶ岳ー南岳縦走 Yarigadake-Minamidake 2013, 8, 10-12

下界では猛暑が続いていましたが、久しぶりに3000m峰が連なる雲上の散歩道を縦走してきました。
何もかも別世界、空、雲、風、花、鳥、岩、そして私たち、あらためて山、自然のすばらしさに感動を覚えた山旅となりました。
特に今回は百花繚乱、ハクサンイチゲ、チングルマなどHPに乗せきれない程の種類の花たちと出会いがあり、北岳に劣らないほど花の山でした。

徳沢

上高地から2時間、以前牧場だったキャンプ場にはカラフルなテントがたくさん張られていました。ここから涸沢と槍沢の分岐点、横尾までさらに1時間、先を急ぐ登山者に道を譲りながら、私たちはお花の写真を撮りながらのんびり進みました。

ミヤマオダマキ

うっそうとした樹林の間を縫うように道がつけられています。ふと見つけたミヤマオダマキです。ひっそりと静かに咲いていたので誰も気づかないようでした。

ソバナ

暗い林道に薄紫色のソバナは綺麗です。上高地から横尾、槍沢上部までいたるところに咲いていました。

キツリフネ

以前は横尾の近くに群生していたキツリフネですが、今回はなかなか見つけられず、やはり横尾が近づいてやっと見つけた花です。

ハクサンオミナエシ

登山道脇、水場の近くなどに咲いていました。

横尾で

上高地を出発して約3時間、ようやく横尾に到着です。出発が遅れ、もうすでに予定より1時間も遅い、しかも真夏の陽射しが暑いこと、行く先を考えると自信が失せて行く私でした。

槍沢流れ

夏にこの道を通るのはいったい何年ぶり?最近は秋に訪れることが多かったせいか、体が暑さに応えられずキツいこと。結局横尾から1時間半、槍沢ロッジにお昼前、1時間遅れで到着でした。 夕方までに殺生ヒュッテに辿り着く自信がなく、槍沢ロッジに一泊することにしました。

カラマツソウ

夜明けに槍沢ロッジを出発、テント場のババ平を過ぎて大曲を目指します。登山道脇の茂みのあちこちでカラマツソウが風に揺れていました。

クルマユリ

鮮やかな色のクルマユリは登山者の目を引きます。

ハクサンフウロ

大曲の辺からお花が多くなりました。このハクサンフウロが咲く辺の近くにはニッコウキスゲの群生地があったり、ヨツバシオガマ、エゾシオガマ、トリカブト、ミヤマキンバイなど いろんなお花が目を楽しませてくれました。なかなか先に進まず、予定時間に大幅に遅れてしまい、稜線を見ると飛騨側からガスが上がっていました。

大喰岳ー中岳

これから向かう大喰岳から中岳の稜線が見えてきました。絶望的に遠く高く見えています。

ハクサンチドリ

お花畑の中に一つだけ見つけたハクサンチドリです。

シナノキンバイ

天狗原への分岐に近づくと、辺りはシナノキンバイやミヤマキンバイが多く咲いていました。それにハクサンイチゲやコバイケイソウなども群生していて、夏の山はまさに百花繚乱でした。 楽しみにしていた花たちに出会えて本当に嬉しかったです。今回花の写真を撮りながら登っているのは私たちくらい、ちょっと勿体ない、なんて思いました。

天狗原への分岐

槍沢を登ってきました。やっと天狗原への分岐、ここから左に行くと天狗池のある天狗原から横尾尾根経由で南岳の稜線に出ます。以前秋に2回もそのルートで3000mまでの一気登りをした 私ですが、今回は槍から南岳へ、稜線歩きが目的なので、真っすぐに槍を目指して頑張ります。

チングルマ

大好きな花チングルマ、槍沢のチングルマは花が少し小さめのような気がします。見えていてもいっこうに近づかない槍の稜線でしたが、足下の花々に癒されながら頑張ることができました。

ヒュッテ大槍への分岐

大きな空、大きな山、大き過ぎて一歩、一歩頑張ってもなかなか近づいてくれません。私たちはこの後の分岐を殺生ヒュッテへ取りました。酸素が薄くなり苦しいので殺生ヒュッテで一休みさせてもらい、 ヒュッテの裏手から東鎌尾根へ出ることにしました。岩場で高度を稼ぐことができたので槍がどんどん近づきました。

東鎌尾根から展望

殺生ヒュッテでゆっくり休憩させてもらいました。裏手から尾根まではほんの10分ほど、尾根に出ると展望がすばらしく、目の前の槍もいっそう大きく近づいた感じがしました。

槍ヶ岳

槍ヶ岳がどんどん迫ります。右の尾根はバリエーションルートの北鎌尾根です。

槍沢を望む

登って来た道と下に殺生ヒュッテの赤い屋根が見えています。

フデリンドウ

1cmほどの小さな花なので気づく登山者は少ないかも知れません。

ウサギギク

大好きな花です。高山に咲く花の中では大きく目立ちます。ひまわりのようにお日様に向いて咲くさまのかわいいこと。

槍沢と展望

槍ヶ岳の肩直下まできました。登ってきた槍沢と常念山脈を望みます。

槍ヶ岳

槍の肩に経つ山荘の前は登山者で賑わっています。それにも増して、振り返った槍の穂先に取り付く登山者の多いこと。もう何度も登った槍の穂先なので今回はパスします。クリックして大きい画像で 見てくださいね。

大喰岳登りから

槍と槍ヶ岳山荘、テント場が見えています。やっと稜線に出たと思ったらこの登り、稜線歩きもそう簡単ではないようです。

大喰岳山頂

二重山稜を持つ大喰岳の広い山頂です。ここからは少し前に傾いだ槍の穂先が見えています。

展望

大喰岳から緩やかに下りながら中岳を目指します。飛騨側からはガスが上がってくるようになりましたが、槍沢側はずっと快晴、常念山脈の山々が綺麗です。

トウヤクリンドウ

稜線は岩と風の通り道、そこで小さな花たちが一生懸命咲いている姿に感動を覚えない人はいない筈...気づくどころか先を急ぐ登山者が殆どです。

梯子

中岳の山頂直下の梯子です。大喰岳を下り、登り返してきた両足がとても重く、梯子を上るのは辛かったです。

中岳山頂

やっと二つ目のピーク中岳に到着でした。ここから雪渓を見ながら大きな岩を下ると水場があります。今年は例年より雪渓が多く残っていました。雪渓から流れる水は本当に冷たくおいしかったです。

横尾尾根(天狗原)への分岐

中岳を下り南岳に近づきました。横尾尾根に下る分岐点まで来ました。以前に横尾尾根から辿り着いたこの稜線、ここで座り込んで暫く動けなかった場所。初めて槍から稜線歩きをした時、 ガスで視界が悪い中、横尾尾根から突然現れた山の先輩、山ちゃんに遭遇した場所、本当に懐かしい分岐です。

中岳山頂を振り返る

稜線の岩場から振り返ると中岳と大きな雪渓が見えています。

南岳山頂

やっと南岳山頂に到着です。ここまで来れば後は南岳小屋まで下りだけ、本当にホッとしました。小屋にチェックインして夕日を期待しながら夕ご飯まで休憩です。

夕焼け

大好きな山の稜線で迎えるこの時間、ゆっくりと一日が終わります。夕ご飯を終えて小屋の外に出てみました。

夕日

笠ヶ岳に日が沈みます。

夕焼け

笠ヶ岳の稜線に夕日が沈むと山の一日は終わり、厳かで静かな時が流れます。

朝の槍ヶ岳

南岳小屋の前、少し上がったところが常念平、そこから槍を望むことができます。すばらしいお天気に山々が輝きます。

雲海

山々の向こうには雲海が広がります。3000mの稜線は雲上の世界、贅沢な時間が過ぎて行きます。

長谷川ピーク

大キレットと北穂が朝日を浴びて輝いています。日が当たらない滝谷の不気味なこと。以前に2回大キレットを通過した時のワクワク感を思い出しました。でも今回は体力に自信がないのでパスします。

ウサギギク

常念平へ通じる岩の道の脇にもいろんな花が咲いていました。その中でもやはりウサギギクはかわいいです。

南岳小屋と獅子鼻

今までいろんな山小屋に泊りました、でもこのすばらしい展望はここだけ、大キレットを歩かなくても南岳小屋に泊る価値は充分です。実際常念平で富山からこの景色を撮りに 来たという女性に出会いました。富山弁丸出しの彼女は、前日私たちが辿った槍までの稜線をピストンすると言っていました。

常念山脈

蝶ヶ岳、常念岳、大天井岳、燕岳、その向こうに鹿島槍、五竜...

大キレット

北穂、涸沢岳、奥穂、ジャンダルム、そして前穂も。3000m峰が連なります。

槍ヶ岳

常念平から少し下がったところから槍ヶ岳と私です。誰もいない常念平でのんびり景色を楽しみました。

南岳小屋と穂高連峰

この日は下山だけ、時間はたっぷりあります。横尾尾根を目指して南岳を登ります。振り返ると穂高連峰のすばらしい展望でした。

裏銀座の山々

前日ガスで見えなかった裏銀座の山々が見えています。いつか歩いてみたい山々です。

南岳山頂から

名残惜しい稜線を後にこれから横尾尾根を下ります。

槍ヶ岳

横尾尾根は上りも下りも一気に高度を上げたり、下げたり、本当に急な尾根道です。大キレットの下りのようにぐんぐんと下ります。東鎌尾根から槍が見えてきました。

横尾本谷と屏風岩

横尾尾根の右側に広がる横尾本谷の美しいこと、またいつか秋に訪れてみたい。

槍ヶ岳

横尾尾根から左側に広がるのは天狗原、まだ雪渓が多く残っていました。この辺りから槍沢の分岐までチングルマが一斉に咲き誇り、ナナカマドの白い花が咲き、 斜面は鮮やかな緑に覆われ、どんなに眺めても見飽きることがなく、なかなか足が進まない私たちでした。今回は3年ぶりの3000m峰、お花の写真を撮りながらのんびり登って行きました。 上高地から槍沢ロッジまでは4時間半、槍沢ロッジから殺生ヒュッテまで7時間、殺生ヒュッテから東鎌尾根経由槍の肩を通り南岳小屋まで稜線歩きは4時間でした。たくさんの休憩と写真撮影の時間が入っています。南岳から 徳沢まで下りは7時間ほど、途中槍沢で水遊びと休憩もしました。どこのコースタイムもオーバーするのんびりプランでした。休憩も、疲れたら足を止めその度に水を飲みました。なんとか無事に達成することができました。

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