槍ヶ岳 Yarigadake (2010.08.28-29)
槍登頂2回目の今回は山頂からすばらしい展望でした。週末を利用しての山行のため、上高地から3000m上空へ一気登りはほんとうにきつかったです。
清らかで肌を刺すほど冷たい槍沢の流れと、アキノキリンソウ、ミソガワソウ、トリカブト、イワオトギリなどたくさんの花たちに励まされ頑張れました。
横尾出発
沢渡を5時に出発、タクシーで上高地に入りました。ノコンギクやキツリフネなどが咲く梓川に沿った11kmの道を横尾までやってきました。横尾にこんな地図があったので見ると、分かっていても1500mの標高差を一気に登るのは大変そうです。
槍沢
真夏の陽射しを受けて飛び込んでみたくなるほど綺麗な水の流れです。帰り道では何度も水に足をつけたりして体を冷やしました。
ソバナ
緩やかに上る道の両脇にはたくさんの花が咲いていました。
大曲りへ
槍沢ロッジで少し休憩して11時ごろ出発しました。ババ平キャンプ場でお昼ご飯を食べ、向こうに見える大きな岩の辺り、大曲りへ向かいます。
大曲り付近
道が左に大きく曲がっています。もう一度右にカーブするので通称S字と呼ばれています。大喰岳、中岳が向こうに見えてきました。槍はまだ見えません。
大曲りを振り返ると
辿った道を振り返りました。ずいぶん登ってきたことがわかります。大曲りまでは緩やかだった道もこの辺りからきつい登りになり、足を止める回数が増えました。
天狗原への分岐
天狗原から横尾尾根、南岳へ続く道と、槍への道の分岐です。ここからさらに傾斜を増す道ですがたくさんのお花に励まされ頑張ります。
ウメバチソウ
草むらに隠れるように咲いていたウメバチソウです。良く見るとここにもあそこにも。殆どの登山者が気づかずに通り過ぎてしまいます。
ミソガワソウ
さっきの分岐から少し上がってくると、ミソガワソウの群生地がありました。北岳に咲いていたのに比べ多くの花をつけています。
槍
グリーンバンドを登り、モレーンの上に出るとようやく遥か彼方に姿を現した槍です。
チングルマ
チングルマの果穂です。山は夏の終わり、秋の訪れも近そうです。
アオノツガザクラ
岩の間を縫うようにたくさん咲いていました。一歩、また一歩、足が重くなってなかなか先に進まないとき、こんな可憐な花たちに癒されます。
キジムシロ
鮮やかな黄色の花が目を引きます。
イワオトギリ
岩ばかりゴロゴロした斜面でも足元には小さな花が所狭しと咲いています。辛い登りを励ましてくれる花たちです。
正念場
槍も泊まるはずの殺生ヒュッテも見えているのになかなか近づきません。疲れきった足にはきつい最後の登り、頑張ります。
小屋への分岐
この大きな黒岩と書かれた岩の向こうに小屋が近づきました。後少し、残っている力を振り絞って登ります。4時半、やっと殺生ヒュッテに到着しました。
朝焼け
静かで快適な山小屋で一夜を過ごしました。朝5時に外に出て見るとこんなにすばらしい朝焼けの空と山々でした。殺生ヒュッテからは東鎌尾根が邪魔をしてご来光を見ることができませんが、朝の太陽の光を受けて輝きだす山々や空があまりに美しく感動しました。
朝焼けと雲海
寒さも忘れて暫く呆然と眺めます。
朝焼けと山並み
槍ヶ岳
朝焼けと富士山
富士山と南アルプス
八ヶ岳と雲海
朝焼けと登山者
東鎌尾根の上に建つヒュッテ大槍の前に立つ登山者たち、この美しい景色に感動していることでしょう。
殺生ヒュッテ
ゆっくり朝食をいただいて槍ヶ岳登頂へ出発です。ヒュッテの入り口付近です。何年ぶりかな、静かでほっとできる山小屋らしい小屋に泊まることができました。
何より、食事を急かされることもなく、お布団もゆったり、夜中にトイレに行く人もなく、洗面所やトイレに並ぶこともなく、久しぶりに良く眠れました。
槍へ
殺生ヒュッテの裏から東鎌尾根へ上がります。ほんの10分ほどの登りです。
トウヤクリンドウ
登り始めてすぐに岩の斜面にたくさん咲いていたトウヤクリンドウです。
槍へ
尾根に近づくといっそう大きな槍が聳えています。
槍へ
東鎌尾根へ上がりました。尾根伝いに槍を目指します。
北鎌尾根
尾根に出ると東側の展望が開けます。北鎌尾根もすぐそこに。
ヒュッテ大槍
稜線上を振り返ると私たちが辿った尾根のずっと向こうの岩の上にヒュッテ大槍が見えています。早朝の朝焼けの中に人が立っていたところです。
槍へ
山仲間にとって夢の頂へ一歩づつ近づきます。
槍へ
だんだんと険しくなる岩場を通ります。
槍へ
トラバースしたり
槍へ
梯子を上り
槍の穂先
これから斜めに横切ると槍ヶ岳山荘の前に出ます。ザックをデポしていよいよ槍へ登ります。
槍へ
荷物を下ろして身軽になって登り始めます。岩場の白い矢印を辿ります。
小槍
ルートは一部を除いて殆ど上りと下り、分けてあり一方通行でした。上りで北側を巻いて行くと小槍がすぐそこに見えています。ちょうどクライマーが懸垂下降していました。
頂へ
以前の記憶より急な岩場を登って行きます。ピンや梯子を頼りにぐんぐん登って行き、最後に垂直に近い梯子を2本上ると山頂でした。
私たち3人と単独の男性、後から登ってきた3人の方たち、遥々長崎から来たそうです。計7名で暫く山頂を占領して景色を堪能しました。
山頂で
まずは記念撮影です。すばらしい空と展望です。それにしてもやはり狭い山頂、転ばないように慎重に歩きます。
山頂から
槍ヶ岳山荘です。
山頂から
笠ヶ岳です。
山頂から
小槍です。
山頂から
西鎌尾根と笠ヶ岳
山頂から
双六岳、裏銀座の山々
山頂で
3人で記念撮影です。
山頂から
常念岳、蝶ヶ岳
山頂から
穂高へ続く3000mの峰が連なる稜線、いつかもう一度この稜線を歩いてみたい。
祠
こんなに狭い山頂です。手前に私たちが座っている場所がありますが、あまり端に行くと岩が崩れて岩と一緒に落ちそうです。
下る
垂直の梯子を下る私です。鎖場より嫌な梯子、考えていると返って恐くなるので、とりあえず下を見ずに下り始めました。
梯子
頂へ4本の梯子がつけられています。左は上り用、右は下り用。
鎖場
鎖場を下ります。
イワツメクサ
景色を堪能して下ってきました。山荘脇に咲いていたイワツメクサです。これからゆっくりと花を愛でながら下ります。
ウサギギク
大好きなウサギギクも咲いていました。
アキノキリンソウ
秋が近づくこの時期たくさん咲いて目を楽しませてくれます。槍沢から上へ道の両側にたくさん咲いていました。
下る
グリーンバンド近くまで下ってきました。相変わらず辺りにはお花がいっぱいです。振り返った槍が前日見上げたように遠くなりました。
ハクサンフウロ
風に揺れる様がかわいいハクサンフウロも夏を惜しんでいるようです。
下る
前日よりも陽射しが照りつける中、大曲り付近まで下ってきました。振り返るともう槍は見えなくなりました。
キツリフネ
帰り道、横尾から徳沢へ向かってすぐ道の両側にキツリフネの群生地がありました。見たこともないほどたくさんのキツリフネに驚きました。今回の山行は何もかもベストのコンディションで行くことができました。
数年ぶりに何とか3000mへ一気登りもでき、まだ登れる自信に繋がりました。何より、快晴の空の下、槍の頂へ立ち山の友の夢を叶えることができて良かったです。私たちも前回ガスで展望のなかった山頂で思う存分景色を楽しむことができました。
上りは、休憩時間などを除いて、上高地から殺生ヒュッテまで9時間半、下りは槍の肩から上高地まで7時間半ほどかかりました。
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夏の山旅へ
